青森県黒石市で毎年夏に開催される黒石よされは、日本三大流し踊りの一つに数えられる伝統的な祭りです。
その起源は約500~600年前にさかのぼり、盆踊りから発展したものとされています。
この祭りの由来には、地域の生活や自然との結びつきが反映されており、黒石市ならではの文化が息づいています。
黒石よされの名前の由来には、地域の人々の暮らしや自然との調和が色濃く刻まれており、唄や踊りには津軽弁や古くからの風習が取り入れられています。
特に「エッチャホー、エッチャホー」という掛け声や男女の掛け合いを表現した唄は、踊りの魅力を一層引き立てています。
また、黒石よされは3つの踊りのスタイルに分かれ、それぞれが地域の文化を象徴し、多くの観光客を惹きつけます。
黒石よされは、踊りや唄だけでなく、黒石市そのものの歴史や由来、風土を体感できる祭りです。
黒石よされの由来は?
黒石よされの「よされ」という名称の由来には、いくつかの説があり、いずれも当時の人々の生活や感情を反映したものとされています。
1つ目の説は、豊作時の喜びに由来します。
「仕事をよして楽しく踊りなされ」という言葉が次第に短縮され、「よして」と「なされ」が合わさって「よされ」になったと考えられています。
2つ目の説は、凶作時の悲しみから生まれたものです。
「このような世の中は早く去れ」という嘆きが「世」と「去れ」に分かれ、それが結びついて「よされ」となったとされています。
その他の由来の説として、「酒席で与三郎という邪魔者を追い出すために発した『与さ去れ』から来た」という話があります。
「よされ」という名称に込められた多様な意味と歴史を知ると、踊りの一つひとつに対する理解が深まります。
黒石よされの起源は?

黒石よされの起源は、約500~600年前に始まる古い歴史を持つ盆踊りにあります。
そのルーツは、山岳宗教が盛んだった時代、地域の人々が夏の盆踊りとして唄を掛け合う風習から生まれたとされます。
黒石よされが特に注目を集めるようになったのは、天明年間(1781年~1789年)のことです。
この時期、黒石藩の家老・境形右衛門が商工業を活性化させるため、近隣の農村から城下町へ人々を集める施策を行いました。
この取り組みが功を奏し、黒石の盆踊りは町の文化として定着し、地域の人々をつなぐ重要な行事となりました。
黒石よされは、こうした地域の生活や文化を背景に発展を遂げました。
黒石よされの文化と伝統に触れることで、地域の歴史や人々の想いを感じることができます。
ぜひ、この夏、黒石よされの魅力を体験してみてはいかがでしょうか。
黒石よされの男女の掛け合いとは?
黒石よされが男女の掛け合いとして知られる理由は、その起源と唄にあります。
恋愛模様を表現した掛け合い唄が、この踊りの大きな特徴です。
黒石よされの起源は約500~600年前にさかのぼります。
当時、盆踊りの場は若者たちが自然に交流し、恋を語らう貴重な機会でした。
その中で、男女が津軽弁で恋心を掛け合う唄が生まれ、これが「黒石よされ」の基盤となりました。
現代でもその伝統は生き続け、黒石よされの唄には恋の駆け引きを描いたユーモラスな歌詞が多く含まれています。
踊りの動きにもこの恋の掛け合いが反映されています。
黒石よされは、恋の掛け合いを中心としながらも、地域の伝統や人々の暮らしを反映した奥深い民俗芸能です。

背景を知った上で踊りを楽しむと、さらに魅力が深まりますね。
黒石よされの三つの踊り
黒石よされには3つの特徴的な踊りがあります。
1.流し踊り
- 数千人規模で市内を練り歩く祭りの中心的な踊り
- 日本三大流し踊りの1つ
- 毎年8月中旬に開催され、約2,000人の踊り手が参加
2.廻り踊り
- 流し踊りの途中で円を描くように踊る
- 見物客も自由に参加できる
- 地元の人々と一緒に踊れる交流型の踊り
3.組踊り
- 20〜30人の踊り組による伝統的な津軽民謡手踊り
- 三味線、太鼓、唄を伴う
- 津軽伝承工芸館で組踊り大賞も開催される
各踊りは、黒石よされの起源や由来と深く結びついており、地域の伝統と文化を生き生きと表現しています。
特に、雀が稲穂に集まる様子を模した手踊りは、津軽地方特有の風情を感じさせます。
それぞれの踊りの違いを知ることで、黒石よされをより深く楽しむことができるでしょう。
黒石よされの唄について
黒石よされの唄は、地域の文化と歴史を反映した伝統的な掛け合い唄です。
「エッチャホー、エッチャホー」という独特の掛け声の由来は、稲穂に群がる雀を追い払う仕草に由来するとも言われています。
黒石よされの唄で使われる曲は4つあり、それぞれが独自のリズムやメロディーを持っています。
- 「黒石よされ」
- 「黒石甚句」
- 「黒石じょんから」
- 「津軽甚句(ドダレバチ)」
特に「黒石よされ」は、津軽弁の歌詞を通じて恋愛や地域の日常を歌い上げ、聞く人々の心を和ませます。
一方、「黒石甚句」や「津軽甚句」は、地域の歴史的背景や風土を反映し、より奥深い物語性を感じさせます。
黒石よされの唄には、恋愛にとどまらず、地域の生活や自然を描写する多様な要素が込められています。
この唄を通じて、踊り手たちは地域の伝統を現代に継承し、観客は黒石の歴史や文化に触れることができます。
黒石よされのコース案内
黒石よされ流し踊りは、毎年8月15日と16日の19時から20時30分に、黒石市内の中心商店街で開催されるイベントです。
期間中の来場者は約8万人に達します。
この踊りは、日本三大流し踊りの一つとして知られており、数千人規模の参加者が街中を踊りながら練り歩きます。
数千人もの踊り手が連なって街中を練り歩く姿は圧巻です。
スタート地点は、「津軽こみせ駅」の隣にある中町一番町歯科の跡地です。
黒石よされのコースマップはこちら
引用元:一般社団法人 黒石観光協会
黒石よされの場所とアクセス方法
黒石よされは、青森県黒石市の中心市街地で開催されます。
主な会場は以下の通りです。
主要会場
- メイン会場: こみせ通り(中町一番町歯科跡)
- 流し踊り会場: 黒石市内中心市街地
- 組踊り会場: 黒石公民館多目的ホール
- 廻り踊り会場: 駅前広場
黒石市中町周辺
〒036-0377 青森県黒石市
- 公共交通機関でのアクセス: 弘南鉄道黒石駅から徒歩約10-12分
- 車でのアクセス: 東北自動車道黒石ICから市内中心部へ約10分
黒石よされ会場の駐車場について
黒石よされの駐車場情報は以下の通りです。
無料駐車場(交通規制外)
- 御幸公園(みゆきこうえん)
- 黒石市役所
- みちのく銀行黒石内町支店(16:00以降利用可能)
交通規制内の駐車場
- 青森銀行黒石支店(16:00以降利用可能、18:00~21:15は出庫不可)
- 青い森信用金庫黒石支店(同上)
まとめ
黒石よされは、地域の歴史や文化、そして人々の絆が深く反映された伝統行事です。
その起源は約500~600年前の盆踊りにあり、恋の掛け合い唄として始まったことが由来となっています。
現在でも、この恋模様や津軽弁で唄われる独特の歌詞は、踊りや唄の中に息づき、祭りに豊かな物語性を与えています。
黒石よされの魅力は、多彩な踊りのスタイルや、唄に込められた地域の暮らしや自然、歴史を感じられる点にあります。
編笠や浴衣姿の踊り手たちが織りなす美しい光景は、観客を非日常の世界へと誘います。
このように、黒石よされは単なる祭りにとどまらず、地域の文化遺産ともいえる存在です。
その奥深い由来を知り、踊りや唄をじっくり味わうことで、さらに感動を得られるでしょう。

夏の黒石を訪れ、黒石よされの魅力を存分に楽しんでくださいね。
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